密輸事件について控訴審で無罪判決を獲得した事案|控訴 弁護士サイト

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密輸事件について控訴審で無罪判決を獲得した事案

事案の概要

依頼者は、知人から誘われてアメリカ合衆国に渡航し、渡航中は終始その知人と行動を共にしていました。帰国時、依頼者が航空機に預託手荷物として預けたスーツケースから、コーヒー豆の袋に隠匿された多量の覚醒剤が税関検査で発見され、依頼者は覚醒剤取締法違反及び関税法違反で起訴されました。

依頼者は、当該袋は自分が土産物として購入したものであり、同行者が外見の同じ袋とすり替えたに違いない旨を一貫して述べていましたが、第一審裁判所はこの供述を信用できないとして排斥し、依頼者にはスーツケース内に違法薬物が入っているかもしれないとの認識があったと認定して、有罪判決を言い渡しました。控訴審では二名の弁護人が選任され、そのうちの一名が当事務所の弁護士でした。

本件で生じた問題と当事務所の対応

1 第一審裁判所が既に依頼者の供述を排斥していたこと

当事務所の弁護士は、第一審の記録を精査し、原判決の弱点を特定しました。原判決は、依頼者の渡航状況が観光目的としては不自然であることから依頼者の認識を推認する一方で、依頼者を渡航に誘った同行者が共犯者に含まれるのか否かを明らかにしないままでした。そこで、この点が明らかにされない限り、依頼者が事情を知りながら輸入に加担したとの認定は合理的な根拠を欠くと主張しました。すなわち、仮に同行者が共犯者でないとすれば、依頼者自身が渡航先で密輸組織と接触して覚醒剤を入手したことになりますが、依頼者は同国への渡航が初めてであり、現地に知人もなく、語学力も高くないことに照らせば、そのような経緯は考えがたいものでした。

2 控訴審において検察官が新たな主張を展開したこと

検察官は、控訴審に至って初めて、同行者が共犯者に含まれる旨を釈明しました。その上で、依頼者に認識があったことを推認させる間接事実として、渡航前のメッセージのやり取り、渡航中に同行者が第三者と頻繁に連絡を取っていたこと、税関検査時の依頼者の言動などを主張しました。当事務所の弁護士は、これらの間接事実を一つずつ検討し、そのいずれもが、依頼者が事情を知らないまま運搬役として利用された場合とも同様に整合するものであって、検察官が立証すべき依頼者の認識を基礎づけるものではないことを明らかにしました。

結果

控訴審裁判所は、原判決の事実認定は是認できず、依頼者にスーツケース内に違法薬物が入っているかもしれないとの認識があったかについては合理的な疑いが生じると判断しました。そして、原判決を破棄した上で、事件を差し戻すことなく自ら判決を行い、依頼者に対して無罪を言い渡しました。


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